NAZDEM社 工場見学

2019年8月26日

トルコ視察出張も今日で最終日。
実はトルコに着いてから、ずっと畑めぐりばかりで全くお土産を買う時間もありませんでした。なので、社長さんに無理を言ってナジッリの繁華街に連れてきてもらいました。

職業柄、どうしてもベーカリーに目が行ってしまいます。
こちらのベーカリーからいい匂いが漂ってきます。これはトルコで定番の胡麻をふんだんにトッピングしたハード系リングパン。イズミルでも移動中に見かけたチーズとトマトと青唐辛子の定番サンドイッチ。また、ヨーロッパと同じく、菓子も一緒に製造販売しています。美味しそう!そして安い!
街を歩いていると宝石店がかなり多いことに気づきます。特にGOLDの店が多い。お祝い事やプレゼントにGOLDを贈る習慣があるようです。
さて、私にも家族にジュエリーを贈ることにして、ショーウィンドの細工が綺麗なお店を見つけて購入しました。親切に応対してくれた店員さん、ありがとうございました!

<NAZDEM社 工場見学>

さて、これからNAZDEM社に訪問して、イチジクの加工工程を見学します。
到着するなり前社長のズヒニさんが自分の畑で採れた生食用のイチジクで私をもてなしてくれました。朝採りのイチジク、美味しくて…そして感謝です。
また、社長のヤーシンさんは、今日の加工工程のデモンストレーションのために、わざわざ200キロのイチジクを購入してくれました。高地のイチジクは収穫が始まったばかりで、今は低地のイチジクしか入手することができず、NAZDEM基準であるイチジクをこの見学のためだけに準備してくれました。本当に感謝感謝です。

原料受入検査

白衣に着替え、工場に入る準備ができた私たちは、まず、原料の受け入れ場所に向かいました。
写真左の品質管理NURGUL(ヌルギュル)氏と写真右の仕入担当YALCIN(ヤルチュン)氏は15年以上勤めるベテランスタッフです。ヤルチュン氏は、現社長ヤーシン氏の弟で、ほとんどの時間をイチジク畑の訪問に費やしています。
こちらでは、原料の品質とサイズの規格を見分けるために1kgのサンプリングを行います。1kg中にイチジクが51~55個の場合はNo.4、56~60個の場合はNo.5と言うように、業界の統一基準に則って査定を行います。また、その中からA級品、B級品などに分け、パーセント換算をします。
そして最も大事なアフラトキシン検査を1kgのサンプリング全数で行います。アフラトキシン検査は表皮と中身の両方を検査します。
アフラトキシンとは
カビ毒の一種で10種類の関連物質の総称です。主に肝細胞癌を引き起こす原因となっています。
日本では、イチジクをはじめクルミなどの穀物にも発生する可能性があることから、日本にこれらのフルーツや穀物を輸入する際は港にて全輸入貨物に対して命令検査が実施されています。
また、日本のアフラトキシン検出基準は他国に比べてかなり厳しい値となっているため、輸入許可された食べ物は安心して食することができます。
もしアフラトキシンが検出された時は、日本に上陸せずそのまま返送されます。

燻蒸処理

合格すると24時間の燻蒸を行います。終了してようやく原料を工場内に持ち込むことができます。

一次選別(ブラックベルトライン)

燻蒸が終了したイチジクは、ホール状で出荷できるグレードなのか、それとも表皮に傷や痛みがあり、ホール状では出荷できないものかどうかを選別します。

サイズ分別

選別が終了したら、サイズ別にイチジクを分類していきます

二次選別(ホワイトベルトライン)

サイズ別に分けたイチジクを1次選別で見逃しがないかどうか、再選別を行います。

三次選別

日本向けには、イチジクの個体一つ一つの中身の状態を指蝕点検します。熟練した人は、イチジクを指で押しただけで良品かどうかを見極めることができるそうです。何トンであっても、必ずイチジク1つ1つを指蝕点検されます。

アフラトキシン検査

暗室の紫外線ランプが光るベルトラインで、選別が終了したイチジクを全数検査します。
アフラトキシンに侵された部分は、紫外線によってグリーンに光ります。作業員は数名体制で全数をもれなくチェックしていきます。表面がアフラトキシンに侵されている場合は、ほとんど中身も影響を受けています。NAZDEMでは、アフラトキシンに侵されたイチジクは、絶対に食用としては使用しません。(一部のパッカーでは他国向け用として、洗浄後に再利用するケースもあるようです)

洗浄

全ての選別と検査が終了したイチジクは、塩水で洗浄されます。この時に、イチジクの表面に着いている汚れをしっかり洗い落とします。

乾燥

水分が含まれたイチジクを一定の水分量に戻すために、乾燥用トレイに並べて自然乾燥します。水分値によっては、専用の部屋で熱風乾燥します。

最終選別

洗浄と乾燥工程で痛んだイチジクを取り除き、良品のみを選別します。

ステム・中身チェック

イチジクの硬い軸の部分をカットし、そして、害虫とカビの検査のため全量のイチジクを一部カットして中身を確認します。もちろん、この工程も日本向けの対応になります。

成形・箱詰

※ナチュラルカット
※レリーダ成形(コイン状に成形)
注文で指示された形状にイチジクを成形して、箱詰めします。

金属探知機+重量検査

最後の検査は、金属探知機と重量検査です。
金属探知機は、Fe 1.2 mm 、Sus 2.2 mmを検出する精度でチェックされます。

包装

自動包装機によって、フィルムが被せられ完成です。
ここまでの全ての工程において、人が携わり、熟練の指先感覚と目視によって、品質の高いイチジクだけがこの工場から出荷されます。

最後に・・・

訪問した時期は、原料となる高地のイチジクの収穫が始まったばかりだったため、冷蔵庫にもストックヤードにも昨年のイチジクはすでに売りつくされていたので、工場は空の状態でした。
それでも、工場内は清潔に保たれ、原料の入荷を待つばかりで受け入れ態勢はすでに整っていました。
また、NAZDEM社の工場では、出入管理の徹底のため、今年度より新しい衛生管理マシンがエントランスに導入されました。
高品質とは、最高の原料と高い意識で実行する衛生管理によって保たれるものと思います。
NAZDEM社の品質の追求は、まだ始まったばかりです。これからのパートナーの進化を更に期待し、応援し続けたいと思います。

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