ママパンシェフ
清水 真樹

ママパン専属のシェフとしてオリジナルのレシピ開発・お客様への技術アドバイスなどを行う。

今回のテーマ

パンづくりの副材料『乳製品類』
2024.9
【パンづくりの副材料】
前回の【糖類】に続き、今回は【乳製品類】についての簡単なお話です。

【パンづくり】でよく使用するものといえば、牛乳、脱脂粉乳(スキムミルク)でしょうか。
その他には、全脂粉乳、バターミルクパウダー、生クリーム、練乳に、クリームチーズやシュレッドチーズなどのチーズ類になります。

今回は牛乳、粉乳を中心にお話させていただきます。
先ずは「乳製品の効果」ですが、その昔パンの味を良くする為にパン生地を仕込む時に水の代わりに牛乳を使用したことが始まりとも云われています。
今日でも、脱脂粉乳(スキムミルク)、全脂粉乳、バターミルクパウダー、生クリーム、練乳などの乳製品がパン生地に配合されています。
パン及びパン生地におけるこれらの乳製品の効果ですが、先ず「良好なクラストカラーの付与」になります。
成分に含まれる「乳糖」が、焼成時にカラメル化とメイラード反応を起こし、パン表面の焼き色を食欲をそそる美味しそうな鮮やかな黄金色にしてくれます。
また成分中の固形物(乳糖、乳脂肪、蛋白質など)が焼成中に生じる化合物の醸し出す甘い香りや風味です。
これが俗にいう「ミルクフレーバー」になります。

※酵母には「ショ糖分解酵素のインベルターゼ」「麦芽糖分解酵素のマルターゼ」「アルコール醗酵に関連した10種余りに及ぶ酵素一群のチマーゼ群」などが存在していますが、「乳糖分解酵素のラクターゼ」は存在していません。
結果、乳糖はイースト(酵母)による醗酵活動にて消費されないので、そのまま残存しクラストカラーの付与やミルクフレーバーの素になります。

【パンづくり】で気を付けていただきたいことで「牛乳の成分」があります。
牛乳は水分が約90%で残りの約10%が固形分(乳糖、乳脂肪、蛋白質など)になります。
固形分を乾燥したものが「全脂粉乳」で、そこから乳脂肪を除去したものが脱脂粉乳(スキムミルク)となります。
粉対比で牛乳を70%配合ということは、水分63%と全脂粉乳7%とほぼ同じなのです。
逆に粉対比で水70%の配合のパンを牛乳で製ろうとした場合、1割増しの77%の牛乳で仕込まないと硬いパン生地になってしまいますので、ご注意を。

牛乳に比べ廉価で保存期間も長い脱脂粉乳(スキムミルク)を【パンづくり】ではよく使用しますが、使用した場合としない場合でも生地の硬さは明らかに変わってきます。
当然「粉体」が増える訳ですから、その分硬くなります。
水分量の調節は粉乳量の半量から同量の水を目安に増やしてください。
また湿気にも弱いのでチャック式のビニール袋などでの保管や、計量後も粉類や砂糖類と一緒によく混ぜ合わせておくか、水に溶かしてから使用しないとダマになる可能性もあるので注意しましょう。

乳製品を配合した生地仕込みの際には生地の捏上まで時間が掛かったり、「緩衝作用」の関係で醗酵も遅くなったり、生地が弛んだりもしますので、配合や工程途中の生地の状態などの見極めや対処も大事になってきます。

今回のテーマ

パンづくりの副材料『砂糖類』
2024.8
【パンづくりの副材料】
前回までは【パンづくりの基本材料】として、小麦粉、パン酵母、塩、水の4種類について順にお話させていただきました。

今回からは【パンづくりの副材料】についての簡単なお話です。
上記の基本材料4種類をベースに砂糖類や卵、乳製品、油脂などが加わってソフトなパンに仕上がります。

今回は【砂糖類】についてのお話ですが、
先ず最初に【糖類】について簡単に説明を。

・「単糖類」:ぶどう糖や果糖のように、ひとつで存在しているもの。

・「少糖類」:「オリゴ糖類」とも。砂糖(上白糖やグラニュー糖など)のように単糖が2個や3個など少ない数で繋がって存在しているもの。
2個⇒二糖類。3個⇒三糖類。

・「多糖類」:デンプンのように、たくさんの単糖が繋がって存在しているもの。

【パンづくり】においては、それぞれが非常に多くの働きを持つものなのですが、
詳しく説明すると小難しくなるので、今回は「少糖類」で二糖類である「砂糖」を中心にお話させていただきます。
砂糖は精製方法によって、大きく分けて
「含蜜糖」「分蜜糖」に分けられます。
精製時に糖蜜を分けるか分けないかなのですが、「含蜜糖」は精製の際に糖蜜を分けずにミネラル分も多く含んだ状態となります。
「分蜜糖」は糖蜜を分離させて、甘み成分である「蔗糖(しょとう)」の純度を高くしたものになります。
特に徹底的に蔗糖以外の成分を取り除き、純度の高いものが「精製糖」で、一番純度の高いのが「グラニュー糖」です。

砂糖類のパンづくりにおける効果としては、先ず「パン酵母の栄養源として取り込まれ、炭酸ガスとアルコールを発生させる醗酵活動の源となる。」
その次に先程の醗酵活動で使用されなかった糖分が「パンの甘さ」に繋がり、また焼成時に「メイラード反応によって焼き色を良くする。」「柔らかくソフトな状態に仕上げる。」「焼成後の水分の蒸発がしにくくなるため、老化を遅らせる。」などになります。

お菓子づくりも含めて【パンづくり】における糖類の役割を理解するには、先ず砂糖やその他の糖類の特性をよく理解することが大事です。
そうして良いパンやお菓子をつくるには、目的にあった糖類の使用が重要となってきます。
パンづくりで、主に使用するのは先ず「上白糖」になります。
その他には「グラニュー糖」、ミネラル分を多く含んだ「ブラウンシュガー類」、「蜂蜜」などがあります。

●「上白糖」・・・基本的には最も多く使用されます。水分含有量が多いので、よりソフトに仕上がりやすく、含まれる転化糖の関係でより綺麗な焼き色が付きやすい。「保水力」も高いので「老化」が遅くなります。柔らかさが長持ちしやすい。

●「グラニュー糖」・・・あっさりとした甘みが特徴で、甘みを抑えたい時や焼き色を少し抑えたい時などに使用。

●「ブラウンシュガー類」・・・ミネラル分を多く含み、それぞれの特徴的な風味がある。

●「蜂蜜」・・・それぞれの種類で特徴的な風味を持つのが特徴。基本的には風味を活かしながら、よりしっとりソフトに仕上げたい時などに使用しますが、大量に使用すると酵素の関係でパンが上手く膨らまない時もあります。その場合は「酵素失活タイプ」の蜂蜜を使用することもあります。また、蜂蜜の成分は「糖分が約80%」「水分が約20%」ですので、換算が必要となります。

詳しくははちみつ特集を参考にして頂ければと思います。

「砂糖類」とは違って「糖質」で云うと、「小麦粉中の糖質」は『バゲット』などのリーンなパンの醗酵活動の源のひとつになり、麦芽糖から抽出して製造された「モルトエキス」なども補助的に添加されます。

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パンづくりの基本材料『水』
2024.7
【パンづくりの基本材料】
小麦粉、パン酵母、塩の4種類とお話してきましたが、今回は最後の【水】についての簡単なお話を。

基本的には弱酸性水、または硬度50~100程度の軟水からやや硬水が適しています。
パンの原材料の多くは中性から弱酸性であり、イーストのアルコール醗酵における副産物の有機酸が弱酸性であるため、基本的には水も弱酸性が適しています。
一般的な水道水は、やや酸性です。
ですので、パン生地の多くは弱酸性に位置します。
弱酸性の環境下ではイーストにとっても活動しやすい環境となります。
水道水の浄化などで「アルカリ水」を利用される方もいらっしゃいますが、自然の摂理においては弱酸性であるパン生地に強いアルカリ性の水を加えると、パン生地の醗酵や膨張に悪影響を与えてしまいます。
パン生地自体が「弱アリカリ性」状態になると、イーストの活性はたちまち落ち、パン生地中の糖質を分解、消化して炭酸ガスを生成するといった醗酵のシステム機能も低下させます。
炭酸ガスが充分に生成されないと当然パン生地も上手く膨らんでくれません。
お家で利用されている方で「上手くパンが膨らまない」って方は、phなども一度確認されてみるのもよいかもしれません。

硬度については、理想的にはやや硬水の方が、生地が適度に締まって醗酵もスムーズです。
軟水ではグルテン組織が軟化して、ベタベタした生地になるため作業性が悪くなります。
また、稀に高加水のパン生地に生地を引き締めるために「硬度の高い水」を使用される方も、あまりにも硬度が高いとパン生地の良い意味での「ゆるみ」が無く、プリプリとし過ぎた生地になり、生地が切れたり、醗酵が遅れるなど作業性が落ちる場合もあります。
適正な醗酵活動の上での、「熟成の旨味」を引き出すなどバランス良くパンづくりをされてみてください。

『水』以外の水分(液体)のお話は、また今度♪

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パンづくりの基本材料『塩』
2024.6
前々回は『強力粉』、前回は『パン酵母』について少しお話させていただきましたが、今回は【塩】についての簡単なお話を。

塩は、バゲットなどのシンプルなパンなどに塩味をつけることはもちろん、醗酵途中の不要微生物の抑制や醗酵速度の調整、また焼成時の皮の色付きなど少量ながら様々な役割を持っています。
今日のように塩もバラエティが増えてくると、その選択と使用量の調整などにも注意が必要です。

シンプルなパン(バゲットなど)などで、塩を同じ割合で使用した場合、使用する塩で「パンの塩味」が変わることがあります。
それは使用した塩に含まれる【塩化ナトリウム】の含有量のせいです。
通常、塩化ナトリウム量が多いほど塩味は強くなります。
ママパンで販売させていただいている「伯方の塩」「早瀬の波塩」「ゲランドの塩」などは、塩100g中の塩化ナトリウム量はおおよそ95~96g程度ですが、一般的な食塩になると99g以上になります。
たった数パーセントのことですが、シンプルなパンでは大きな差となります。
また、お料理などでは塩味の捉え方がだいぶ変わります。

現代においては健康面などでの配慮から「減塩」や「無塩」などもキーワードとなっており、パンも無縁ではありませんし、減塩パンも無塩パンもつくられています。
ただ、製パンにおける段階では物性が大きく変わります。
塩の効力は生地中のグルテン組織を適度に引き締めて弾力のある生地にします。
塩が配合されていない生地は、ベタベタして締まりが無く、生地の醗酵や膨張も時間が掛かり、生地の状態が把握しづらくなります。
生地改良剤(イーストフードやビタミンCなどの酸化剤)を添加してパン生地を引き締める場合もあります。

また一般的なパンづくりでは、小麦粉の量に対して塩2%の配合が多いのですが、例えば基本材料の4種類でつくる『バゲット』生地などは小麦粉を100g使用してつくった場合、生地の総重量はだいたい170g前後ですが、柔らかいソフトな菓子パン生地などでは、砂糖や卵や油脂などの副原料もたくさん入り、生地の総重量は200gを超える場合もあります。
小麦粉に対して2%という配合は変わらなくても、生地の総重量に対しての【塩】のパーセンテージは大きく変わります。
最近ではシンプルなパンでも『高加水パン』として、水分量の多い配合のパンもたくさんあり、当然、小麦粉に対しての2%を基本にしていると、生地の締まりもなく、また塩味の薄いパンに焼き上がってしまいます。
どういうパンをつくりたいかによって、塩の種類を変えたり、配合を変えたりして自分好みの美味しいパンづくりを楽しんでください。

ママパンWEB本店で取り扱っている塩は、以下のページでご覧いただけます。

塩 一覧

今回のテーマ

パンづくりの基本材料『パン酵母』
2024.5
前回は『小麦粉(強力粉)』について少しお話させていただきましたが、今回は『パン酵母』についての簡単なお話を。

酵母には多くの種類がありますが、製パンに適した一つの菌種を純粋培養したものを一般に「イースト」、イースト以外の微生物も含んだパン種のようなものを「天然酵母」や「自家製酵母」などと呼ばれています。
しかし、どちらも同じ「サッカロミセス属」の酵母の働きを利用してパンがつくられることに変わりはありません。

酵母は顕微鏡でしか見ることが出来ない微生物で、1個の独立した生命体を持つ細胞です。
細胞の周囲を覆っている細胞膜は弾力性があり、この膜を通して酵母は外部から栄養分を吸収し生命活動をしています。
パンづくりには、この【酵母の生命活動】の一部を利用させてもらっているのです。

酵母は周囲に酸素がある時は呼吸をして増殖します。
しかし、酸素が不足した状態下に置かれると(パン生地の中に存在する時など)増殖を控え、周囲にある栄養分である糖類を細胞内に取り込み、その糖類を炭酸ガスとアルコールに分解することで酵母はエネルギーを得て生命を維持します。これが「醗酵作用」です。
※微生物によって、人間に有益な物質が生成される現象を「発酵(醗酵)」と呼び、悪変したものを「腐敗」と呼びます。
醗酵によって出来た炭酸ガスは、網目構造をしたグルテン膜のあらゆるところでたくさんの気泡となって生地を膨らませ、パン独特の食感を生み出します。一方、アルコールはパンにふくよかな香りや風味を与えます。

一般的に醗酵にはある程度の時間が掛かりますが、その間にたんぱく質やデンプンが様々な酵素の影響でパン生地に旨味や香り、焼き上がりの美味しそうな色合いを呈する成分なども作り出してくれます。
これらの一連の醗酵と熟成を経て適度な膨らみと成分を含んだパン生地は、火通りが良く、色、風味、食感、さらに消化にも良い美味しいパンに焼き上がります。

パン酵母の詳しい情報はママパンコンテンツでご覧いただけます。
手づくりの参考にしていただければ幸いです。

パン酵母特集

今回のテーマ

パンづくりの基本材料『小麦粉』
2024.4
暖かくなってきて、パンづくりがしやすい季節になってきました。
サンドウィッチなどをつくって、お散歩やピクニックなどもいいですね♪

さて、今回は改めて【パンづくりの基本材料】についての簡単なお話です。
小麦粉、水、パン酵母、塩の4種類が基本材料として「主原料」と呼ばれています。
一般的にはバゲットなどのハースブレッド(直焼きパン・硬い系のパン)が代表的です。
上記の4種類をベースに砂糖類や卵、乳製品、油脂などが加わってソフトなパンに仕上がります。

今回はその中で『小麦粉』についての簡単なお話を。
日本では大きく分けて、「強力粉」「準強力粉」「中力粉」「薄力粉」に分類されます。
その中でも、パンづくりで一番多く使用するのは「強力粉」になります。
強力粉は読んで字のごとく、強い力を持った粉です。
何が強い力かというとグルテンの力になります。

では、そもそもグルテンとは?
小麦の中に含まれる小麦蛋白にある弾力性のある「グルテニン」と、粘着性を持った「グリアジン」は、水に溶けず逆に水を吸収する力を持っており、ここに物理的な力(例えば、練る・捏ねる・叩く・引っ張る)が加わると、粘弾性を持った網目状の組織が出来上がります。
簡単に云うと、これが「グルテン」です。
この網目状組織のグルテンをつくる元になる小麦蛋白の量が多く、質が良いのが「強力粉」なのです。

このように「グルテンの力」が強い強力粉を使うのは、パン生地が醗酵中に発生する「炭酸ガス」を生地の外に逃がさないために、しなやかで弾力のある「グルテン膜」が必要だからです。
もし、このグルテン膜が炭酸ガスを保持出来ないような、もろい・弱いものであれば、あのふっくらとした気泡を抱いた柔らかいソフトな口当たりで口溶けの良い美味しいパンはつくれません。
ですから、パンづくりには小麦全体の約11%以上の小麦蛋白を含有する強力粉が理想的なのです。

強力粉の詳しい情報はママパンコンテンツでご覧いただけます。
手づくりの参考にしていただければ幸いです。

強力粉特集

今回のテーマ

レーズンとお酒のペアリング
2023.12
レーズンはそのままでも、ヨーグルトなどに合わせても楽しめる万能さを持ち合わせています。
大人テイストにワンランクアップさせる「漬け込みフルーツ」は、これからの時期にもよく使う材料の一つです。
前回のコラムで下処理をご紹介させていただきましたママパンでしか買えない2種類のレーズンについてオススメのお酒とのペアリングをご紹介させていただきます。

ジャンボゴールデンレーズンにはコチラがおすすめ】
ディタ(ライチリキュール)
楊貴妃も愛したとされるライチリキュールで漬け込むと、ふわりと高貴な薫りと優しい口当たりで噛み締めるごとにジャンボゴールデンレーズンとのマリアージュをお楽しみいただけます。

プレミアムサヤキレーズンにはコチラがおすすめ】
薫酒(日本酒)
日本酒の中でも風味が淡く薫り高い大吟醸酒や吟醸酒が「薫酒」に分類されます。鼻腔をくすぐり薫り高い余韻を口いっぱいにお楽しみいただけます。

オススメの配合は、レーズン 1:お酒 1:シロップ 1です。
シロップを入れなければ、よりお酒の薫りをストレートに感じていただけ、保存も効きます。
また、アルコールが苦手な方は加熱してアルコール分を飛ばすことで薫りだけを纏わせることも可能です。
そのままはもちろん、シュトレンやパネットーネなどの漬け込みフルーツを使うパンやお菓子の材料としても、アイスなどへのトッピングなどとしてもおすすめです。
秋の夜長を楽しむ逸品としていかがでしょうか?

今回のテーマ

レーズンを活かした下処理
2023.10
目を惹く鮮やかな色合い、甘みと酸味の調和の取れた味わいが特徴のジャンボゴールデンレーズン。
フレッシュな「ぶどう」を連想させるジューシーさ、凝縮された旨味が特徴のプレミアムサヤキレーズン。
ママパンでしか買うことのできない、とっておきのレーズンを楽しむための下処理を今回ご紹介させていただきます。

綺麗な色と味わいを損ねない為にできるだけシンプルな下処理がオススメです。

1.ぬるま湯で軽くすすいだ後、ぬるま湯に30分程浸けておきます。
※出来れば重量を量って、基準値を取り、毎回同じ状態にしていただいた方が良いです。

2.蒸し器で強火で約5分蒸します。(時間は量によって変わります。)
※あるいは、電子レンジで600W・約2分加熱します。

3.熱を取ってから、パン生地に加え混ぜます。
※出来れば、混ぜ込むよりも、2~3回に分けて包み込むように混ぜ込むことをオススメします。

水分を含ませてから、加熱することで、よりふっくらとジューシーな状態に仕上がります。
さらに、パン生地の中に包み込まれた状態で焼成することにより、内部で【蒸し焼き】になるようなイメージで考えた下処理です。
目を惹くだけでなく、しっかりとレーズンの美味しさを感じていただけるオススメの逸品。下処理も合わせてお試しいただければ幸いです。

基本的なレーズンの下処理もご紹介中です。

今回のテーマ

卵不足の「今」だからこそ。
2023.5
ニュースでも度々取り上げられております「卵不足」。
値上だけならともかく、供給が追い付かない現状は業務店様としては商品の質に関わる一大事かと思います。

「卵」を売りにしたお菓子やスイーツは数多くあり、それがお店の「看板商品」であることも多いと思います。
卵不足だから代替品を使うというのも1つですが「看板商品」としての良さを失う可能性も考えないといけません。
卵が不足している中で、新しいものを作るというのも今できる1つの手立てかもしれません。

卵を使うクリームの代表「カスタードクリーム」に代わって、下記のクリームはいかがでしょうか。

《 果実ピューレクリーム 》
お好みのフレッシュフルーツやドライフルーツをピューレ状にする→砂糖類+トレハロース+コーンスターチや粉類を加えて混ぜ合わせる→鍋で炊き、お好みでバターやレモン汁、洋酒を加えて冷却する。

《 チーズクリーム 》
お好みのチーズ(スタンダードはクリームチーズ)+砂糖類+お好みでレモン汁+ホイップクリームを混ぜ合わせるだけ。
焼き込みをするなら、ホイップクリームは液体の生クリームのままで。

《 ヨーグルトクリーム 》
さっぱりとしたクリームでこれからの暑くなる季節にオススメです。生クリームに対して1~2割のヨーグルトを加えて泡立てれば完成です。このクリームをシンプルにサンドにするのもオススメです。

「卵」という代表的なアレルギー成分を外す中で、また今までとは違ったお菓子へのアプローチができます。
さらに、牛乳を豆乳に、薄力粉(小麦粉)をコーンスターチや米粉に変更することで、アレルギー対応やヴィーガン向けと幅を広げることも可能になります。
「ピンチをチャンスに」とまではいかないかもしれませんが、今だからこそ新しい何かを見つけ出す1つのタイミングと捉えることもできるかもしれません。
少しでも皆様のご参考にしていただけましたら幸いです。

今回のテーマ

チョコレートの歴史について
2023.2
寒い冬の季節。チョコレートが1年で一番消費量が多い時期です。
今では様々な種類のチョコレートが販売されてますが、そもそも「どのような歴史があるのか」「どうやって作られるのか」お話します。

《チョコレートは神様の食べ物》
チョコレートの主原料であるカカオが発見されたのは紀元前と言われ、『カカオ豆』は、学名で『テオブロマ・カカオ』と言います。
テオブロマはギリシャ語で《神様の食べ物》、人に知恵を授けるために与えたという言い伝えがあるそうです。また、古来より健康維持や貨幣の代わりとしても貴重なものでした。

《チョコレートが出来るまで》
そんなカカオですが、チョコレートになる部分はカカオ豆と言われる褐色の種子の部分です。
カカオパルプと呼ばれる白色の果肉を醗酵させ、カカオ豆を取り出して加工地へと移っていきます。
製造の過程では、ロースト→粗挽き・風選→ブレンド・ペースト化→副材料の混入→微粒化→コンチング→テンパリング→成型を経てチョコレートへと生まれ変わっていきます。
工程内の『コンチング』は、スイスのチョコブランド『リンツ』が撹拌機(コンチェ)を発明し、練り混ぜるという工程として確立させました。
なめらかな口当たりを実現し、流動性を改善し、型への充填作業能率が大幅に向上しました。
この工程はチョコレートの発展における4大技術革新の1つと言われています。

《チョコレートの技法》
チョコレートの品質を左右する工程の1つ『テンパリング』ですが、カカオバターの結晶を最も安定した結晶型に統一する温度操作の作業です。
この工程をしなくても固まりますが、長時間掛かったり、ザラついた食感や、ツヤもなく口溶けも悪くなります。
結晶にはⅠ~Ⅵ型とあり、口溶けが1番良いのはⅤ型(融点33.8℃)となります。
Ⅴ型に揃えることで、人の体温約36℃で口に入れた瞬間から溶け始め、芳醇な香り・風味が広がります。美味しいチョコを作るのに欠かせないひと手間となります。
何気なく行っている工程にも歴史があり、先人の知恵が盛り込まれています。
気になった工程は1度お調べになってみても面白いかもしれません。

今回のテーマ

生クリームと砂糖の関係
2022.12
先月に引き続き「生クリーム」について、今月は少し専門的なお話を交えてお伝えしたいと思います。

牛乳から作られる生クリーム。その成分構成は脂肪分以外の残り成分のほとんどを「水」が占めています。
例えば乳脂肪分45%の生クリームの場合、55%が水分ということです。
なぜ水分の多い生クリームでも泡立てる事ができるのかというと、それは「水中油滴型」という特殊な構造が影響しているからです。
生クリームの水分の中で、乳脂肪は脂肪分を滴状態にした「脂肪球」と呼ばれる細かい粒子となって存在しています。

泡立てる衝撃によって脂肪球の膜が壊れ、中のとろみのある乳脂肪分が寄せ集まりながら空気を抱き込み網目構造を作ります。 そうした構造の変化により、とろみのあるふわふわとしたホイップクリームになるのです。
ですので、脂肪球が少なく水分の多い低脂肪の方が骨格になる成分が少ない分、生クリームの方がホイップしたときに離水したりダレやすくなるのです。
離水やダレるのを防ぎながら、美味しいケーキに仕上げる為には保水力の高い砂糖類やゼラチンなどを利用する必要があります。
一般的な加糖のホイップは、生クリームに対し6~10%程度の砂糖を加えて作ります。
%が高いほど甘く保水力も上がり、低くすれば甘さは控えめになりますが保水力が下がります。
糖質などを気にして、甘さは抑えて良い状態のホイップに仕上げたい!そんな時には、砂糖の半分以下の甘さで保水力が高い「トレハロース」を砂糖の使用量の半分程度置き換えて使用したり、風味があっさりとしている植物性の生クリームと併用して作られるのがオススメです。

今回のテーマ

生クリームの選び方
2022.11
気がつけば、今年ももう終盤。
あっという間に手作りの大イベント、クリスマスがやってきますね。
ご家庭でデコレーションケーキを手作りする機会の多いイベントではないでしょうか?
今回は、ケーキに無くてはならない「生クリーム」についての基本のおさらいを少し・・・

生クリームには大きく分けて「動物性」「植物性」「コンパウンド(動物性+植物性の混合脂肪)」の3つがあります。
乳脂肪分の%が高いものほど濃厚でコクのある味わいに、低くなる程口当たり軽くさっぱりとした味わいが楽しめます。
クリームが主役のケーキであれば、ミルキーでコクのある乳脂肪の高いクリームがオススメです。
では、乳脂肪分の低いクリームだと合わないの?そんなことはありません。
例えば、甘みも強く濃厚な果物を使用する場合は、低い脂肪分のクリームを使った方がケーキとしてのバランスが良くなる場合もあります。逆に、甘みもコクもあるクリームには酸味のあるフルーツが良く合ったりします。
初心者の方や失敗したくない方に特にオススメなのは「動物性」と「植物性」を同量ずつブレンドする方法。
時間が経っても良い状態が変わりにくい植物性クリームの良さと、コクがあり風味豊かな動物性クリームの良さが合わさった美味しいクリームに仕上がりますよ。
作りたいケーキに合わせて、クリーム選びも変わってきますので良ければご参考くださいね。

今回のテーマ

漬け込みドライフルーツのススメ
2022.10
すっかり秋らしい気温になってきて、パンやお菓子作りも楽しい10月。
ドライフルーツで手作りの冬支度「自家製漬け込みフルーツ」なんていかがでしょうか?
お好きなドライフルーツを、ラム酒やリキュール、ブランデーなどのお酒に漬け込むだけで簡単に作れて長期保存にも最適です。
定番の「レーズン×ラム」の他にも、例えばドライアプリコットやUZ産ジャンボゴールデンレーズンなど元々の色味が綺麗で酸味と甘みのバランスが良いドライフルーツには、色味を活かしながらも上品で爽やかな風味をプラスする、コアントローやキルシュなどがオススメです。
また、漬け込む時間によっても仕上がりが違ってきます。

目安

・24時間・・・洋酒の香りが素材を引き立てながらも、ドライフルーツの食感やテイストをそのまま楽しめる仕上がりに。
・1~3ヶ月・・・1ヶ月を過ぎると洋酒がドライフルーツに馴染み始め、食感が程よく残ったバランスの良い味わいに。
・6ヶ月~・・・長期間による漬け込みによりドライフルーツが熟成し、芯まで洋酒が浸透することで柔らかい食感に。

秋が深まるこの時期から漬け込みフルーツ準備しておけば、クリスマス時期に定番のパンやお菓子にも大活躍すること間違いなし!ですので、いまからご準備してみはいかがでしょうか?
ママパンでは漬け込みフルーツをご紹介するコンテンツもございます。
詳しい作り方や活用レシピなども色々ご紹介しているので、良ければご覧いただきご活用いただければと思います。

今回のテーマ

失敗しない
ふわふわシフォンケーキのススメ
2022.9
秋が近づくと、あまりの暑さに夏には敬遠していたパンや焼き菓子作りを再開しようかなと思われる方がいらっしゃるかと思います。
新麦解禁に先立って、ママパンでもレシピをご紹介しました「シフォンケーキ」。
卵、砂糖、小麦粉といったシンプルな材料と工程で気軽に作れる事から人気の焼菓子ですが、今回はそんなフォンケーキをふわふわに焼き上げるひと手間についてお話をしたいと思います。
シフォンケーキの一番のポイントは何といっても「メレンゲ作り」です。
卵白の泡立て加減も良い感じで、お砂糖を入れるタイミングもバッチリ!これでメレンゲも完璧!…とはならずに、ここから『キメを整える』という作業を行うことがポイントです。
実は、いい状態に泡立ったと思っていても、実際は大きな気泡、小さな気泡、中くらいの気泡が入り混じっています。そのバラバラな気泡を同じ大きさに整えることで、後で加える粉を混ぜ合わせる際に、気泡が潰れにくくなります。また、大きな気泡が残っていることで起こる、焼き上がりの際の中身の空洞を防ぐことにも繋がります。
これはスポンジ生地などをつくる際も一緒ですので、ぜひ実践してみてくださいね。

今回のテーマ

「焼減率」のお話
2022.7
焼減率(しょうげんりつ)とは、焼成の際に適温・適時間で美味しく焼けたかどうかのひとつの目安になる数字となります。
計算式は、(分割重量-焼成後のパンの重量)÷分割重量×100%=焼減率となります。
例として、2つの山のイギリスパンをつくる時、分割重量が350gとした場合、2玉分で700g、焼き上がった時の重さが600gだったとします。
これを計算式に当てはめると、(700g-600g)÷700g×100%=約14.3%となります。
この焼減率にはパンの種類によって、ある程度の目安となる数値があります。
例えば、フランスパンで22~23%、イギリスパンで13~15%、食パンで8%~10%、菓子パン・バターロールなどで約10%などといった目安があります。
イギリスパンの場合、適正焼減率が13~15%なので、焼減率が約14.3%だということは美味しく焼けている状態だという事がわかります。
オーブンを何℃で何分焼くかは、それぞれ微調整していただかないといけないのですが、それぞれのパンを焼く際の目安の計算式があるということも覚えておいていただき、活用していただければなと思います。

ママパンWEB本店 店長
井上 稔
カメラマン、配送営業などの経歴をもつママパン本店店長。
趣味は週末のパン作りとサーフボード。
手作りの楽しさを、さまざまな視点からお伝えします。

今回のテーマ

おいしく見せる 写真の基本の「き」
2023.3
ふと見た写真に、ココロ踊らされることってありませんか?
私の個人的な意見ですが、写真は言葉以上にいろんな情報を伝えてくれると考えています。
だから、写真を見て嬉しくなったり、悲しくなったり、お腹が空いたりと、様々な感情や欲求が揺さぶられるのだと思うのです。
今回は、今や暮らしの中で無くてはならないものとなりつつある「写真」についてのお話です。

暮らしの中で必要不可欠な写真・・・それはSNSではないでしょうか?
スマホで簡単に撮影出来て、価値観を共有出来るツールです。
またお店をされている方ですと、集客手段の一つとして確立されており、写真次第で美味しさの伝わり方は変わってくるかと思います。
誰かの心を動かす1枚を撮ってみませんか?

《 写真の基本 》
それは「対象物」と「光」と「構図」であると思います。
対象物は撮る人の好みですが、「光」に関しては、ある程度一定のセオリーがあります。
太陽光(直射)・日陰・蛍光灯・白熱電球・ロウソクの明かり・月明かり・ストロボなど様々な「光」があります。その中で、お料理の写真を撮るとなると、自然光が最適です。
手作りが好きな人であれば、レシピ本をよく見られていると思います。
一度以下のことを念頭に入れてレシピ本に掲載されている写真を見てください。
綺麗な写真にはある一定の法則があり、カメラのレンズの反対側からの光(逆光)、もしくは横からの光であります。
また、その光は直射光ではなく、いわゆる日陰であり、レースのカーテンや、トレーシングペーパーで和らげられた優しい光であります。
しかし、淡すぎる光は陰影が少なくなり、のっぺりとした写真になり、美味しそうに見える立体感や照り(しずる感)などが出にくくなります。
では、実際にどこで写真を撮ればいいのかというと、ご自宅の窓辺が最適です。
窓辺にお気に入りのテーブルなどを置いて撮影してみてください。
実はママパンコンテンツ「ミル・ヴィラージュ10周年記念特別パン教室レポート」内にておいしく見せるパンの撮影について掲載しております。
その際の写真の講師であるフォトグラファー佐藤氏がおっしゃられていたポイントをまとめると

・イメージが湧かないときは、マネすることから始めましょう。
・室内の場合は、室内灯を消して自然光を利用し、写真に「しずる感」を!
・画面の対角線を利用して、奥行きや立体感を出しましょう。


お作りになられたパンなどを、お気に入りの窓辺を見つけて写真撮影してみませんか?
上手く撮れた写真はSNSなどに掲載することで、新しいファンが見つかるかもしれないですね!

今回のテーマ

酵母について
2023.1
「あれもこれもしなきゃ!」
どこか慌ただしい年末が終わり、いよいよ新年を迎えました。
お休みの期間は年明けのゆるやかな空気に身を任せ、気持ち穏やかに過ごしたいものですね。
新年の初詣など済ませてゆっくりするお時間や、正月飾りなども片付けて余裕が持てましたら、パン作りに必要不可欠な「小さな生き物(酵母菌)」のお世話をしてみませんか。

「小さな生き物(酵母菌)」パン酵母とは?
自然界にはたくさんの種類の酵母がありますが、そこからパン作りに適した酵母を選別して育てたもの(培養したもの)がパン酵母です。
酵母を起こす=ドライフルーツ(レーズン、いちじく、プルーンなど)から起こすのが一般的ですが、ただいまママパンがおすすめする酵母は「有機ココアパウダー」を元にした自家製ココア酵母です。
でも、「ココアパウダーから酵母が起きるの?」という方いらっしゃるかと思います。
ココアパウダーの原料カカオは、割ると白い果肉と種があり、その種を醗酵・乾燥、焙煎などの工程を経てココアパウダーが作られます。元々ココアパウダーは醗酵食品のため、酵母が起こせるという訳なんです。

これからチョコレートが恋しくなる季節です。
今年のバレンタインデーは、素敵な方へのプレゼントとして、自家製ココア酵母を使って作る「パン」にしませんか?
いつも作るパンより、ゆっくりとした時間の流れを楽しめる酵母起こし。
是非この機会に始めてみませんか。

今回のテーマ

お塩の話
2022.8
今回は塩について、ちょっとお話をさせていただきます。
夏を迎え暑さが厳しくなると、汗をかき体からは水分と共に生命維持活動に必要な塩分が不足してしまいます。
人にとっても必要不可欠な塩分、パン作りにおいてもとっても重要な役割を担っていますよね。
殺菌作用をはじめ、酵母の醗酵を適切に調整したり、グルテンを引き締めて生地がダレるのを防ぐほか、タンパク質の酵素分解に作用して伸縮性に富んだ生地にしてくれるなどが挙げられます。
また、どんな料理にも使われる基本的な調味料である塩は、ただ塩味をプラスするだけでなく素材の旨さを引き出すまとめ役でもあります。
素材の組み合わせが悪い時ほど塩分量が多くなり、素材の組み合わせが良い時には少ない量の塩でも味がまとまります。
一言で塩といっても様々な塩がございます、例えばリッチな生地には配合されているバターや砂糖の風味に負けない、しっかりとした味の海水塩が良く合い、逆にリーンな生地には、小麦の風味を際立たせてくれる粒が小さくまろやかな味わいの天日塩がおすすめです。
いつもお使いの塩はどのタイプでしょうか?
この機会にお作りになられるパンによって塩を使い分けてみてはいかがでしょうか?

ママパンスタッフ
奥村 敏樹
趣味はドライブと釣りです。この職に就いてからパン屋さん巡りも趣味になりました。様々な情報をお届けできるように頑張ります。

今回のテーマ

見て食べて楽しむ桜。
2024.2
皆さま「桜」はお好きですか?
私は桜を見るのが好きで、毎年名所である奈良県吉野へと行っています。
日本の国花でもある桜は、食べられるようになって約300年。
桜の名所である江戸の向島で桜の葉で餅をくるんだことが始まりとされています。
国内の主な食用桜の産地は神奈川県秦野市と静岡県西伊豆です。
桜もちによく使用される葉っぱは、よく聞く品種「ソメイヨシノ」ではなく、伊豆で自生していた野生種「大島桜」が今も使われているそうです。
大島桜は成長が早く、繁殖力も高い為に北海道以外の日本全国で栽培できるようです。

「この時期だけにしか楽しめない。」
そういうイメージですが剪定された枝は昨今のキャンプブームなどから燻製用チップにするなどの工夫もされています。
また、桜の焼却灰からは陶器にかける釉薬(ゆうやく)も作れて、赤く色づいた落ち葉は草木染めの材料にもされているようです。
京都の与謝野町ではこういった工夫がなされています。
もしかしたら、キャンプや陶芸など皆様も知らず知らずに桜を使っているかもしれませんし、桜を使った製品を食べたり、使っているかもしれません。

これから訪れる春本番!
まずは食べる桜をご家庭やお店でも楽しみませんか?

今回のテーマ

ピザの良いとこ取り
2023.8
薄く伸ばした生地にトマトソースやチーズを乗せて焼くピザは世界中で人気の食べ物です。
発祥はイタリアですが、世界に大きく広めたのはアメリカと言われています。
20世紀の初めにイタリアからの移民がアメリカでピザ屋を始め、アメリカ全土で普及、有名な宅配ピザチェーンのお店が世界中へと広まったようです。

発祥とされるイタリアのピザは、シンプルな具材で生地の味わいを楽しめるのが特徴です。
スタンダードなマルゲリータはモッツァレラとバジルのシンプルなピザです。

一方、アメリカのピザはサラミやソーセージなどの具材のバリエーションが豊富。生地はモチモチしたパンに近い生地が使用されていて、ボリュームたっぷりです。
様々な味付けや具材によってトッピングを楽しむ食べ物として好まれています。

現在の日本では生地もクリスピーな生地・モチモチした生地、耳の部分にソーセージやチーズの入った生地も選べます。
具材に関しても「照り焼きチキン」「焼肉風」などの日本独自のアレンジも見られ、両方の国の良いところを取って楽しめるスタイルになっています。

この「良いところ取り」はピザだけでなく、中華料理だったラーメンも「醤油・塩・味噌・豚骨」などの日本アレンジ、クリスマスではおもちゃ屋さんやケーキ屋さん以外の本来関係のない業種まで「クリスマスだから」とイベントに関わるなど、海外文化を取り入れる際に「日本アレンジ」が入ることが多く見られます。
アレンジされたものは私たちの中に強く根付いているものも多く、商品開発やアレンジのアイデアとしても重要なポイントの1つなのかなと思います。

今話題のパンやスイーツなども、そのまま提供するのも1つですが「日本風にアレンジ」というのもヒットのポイントかもしれません。

今回のテーマ

ドーナツの穴から学ぶ。
2023.6
アメリカでは、毎年6月の第1金曜日はドーナツの日とされています。
第一次世界大戦中に兵士の為に救世軍がドーナツを作って届けたことを記念してそう言われている様です。
日本でも幅広い世代に人気のドーナツ。定期的にメディアにも取り上げられ、現在は「生ドーナツ」をキーワードにブームが再燃しております。

今回の内容のきっかけは、某有名チェーン店でドーナツを選んでおります際に「なんで穴が開いてるの?」と子供に聞かれたのが理由です。
調べてみますと穴の理由は諸説あり、有力と言われているのは19世紀半ば、アメリカのハンソン・グレゴリー氏が母の作ったドーナツが生焼けで、火を通すために穴をあけたとされるようです。
当時のドーナツは目の詰まったケーキドーナツが主流だったのも原因かと思われます。
彼はリングドーナツの開発者として、メイン州ロックポートに記念碑も建っているようです。
他にも、「アメリカの先住民が放った矢がドーナツの真ん中に刺さったから」「元はDOUGH(生地)+NUTS(ナッツ)という綴りで、真ん中にクルミがのっていましたが、当時アメリカではクルミが入手しづらくその部分をくりぬいた。」など様々な説がございます。明確な1つの理由があるのもスッキリしますが、こういった諸説あるのも面白いものです。

何にせよ「ちょっとしたきっかけ」が何かの拍子に大きな注目を浴びて世界中に浸透する。
こういったことは現在のSNSに似ているなと感じました。
当時は世界に広まるのに時間がかかったかもしれませんが、現在の様にSNSが存在して、グレゴリー氏が穴をあける際に投稿していたならば翌日には世界中にバズったかもしれません。

お店で取り組まれておられることや、独自のポイントなど普段気にしていないことが実はヒットのきっかけになる例かもしれません。今回調べてみて、ドーナツの穴から「発想の転換の大切さ」を学びました。

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